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インタビュー:大西沙織&田丸篤志

まさかの大役に嬉しさと驚き

『魔導具師ダリヤはうつむかない』への出演が決まった感想をお聞かせください。

ダリヤ・ロセッティ役 大西沙織さん(以下、大西) 実はアニメ化が決まる前、原作小説のCMで初めてダリヤの声を担当させていただいて。その後にアニメ化が決まって、改めてオーディションのお話をいただきました。CMで出演していた自分がそのまま受かることはないだろうなと思っていたので、ダリヤ役が決まったと知った時は嬉しさと驚きの気持ちが半分半分でした。

ヴォルフレード・スカルファロット役 田丸篤志さん(以下、田丸) 僕もオーディションを受けましたが、手応えよりも「演じやすかったな」という感想が残っていて。そして結果としてヴォルフ役に決まってすごく嬉しかったです。

田丸さんはオーディション前にどんな準備をされて臨まれたのですか?

田丸 「ああしよう」「こうしよう」と考え過ぎずに自然体で「ちゃんとお芝居しよう」と考えていました。上品なキャラクターですが、オーディションのセリフの中にあった、魔剣について話している時、盛り上がっているところは上品な貴族であることは忘れて少年っぽくやろうかなと思いましたね。

あと余談ですが、オーディションの帰り際に大西さんと遭遇して……。

大西 私と田丸さんの間に1人挟さんで、という近い順番だったので入れ違いで。

田丸 帰り際のスタジオの玄関でばったり会って、大西さんのマネージャーさんから「受かった?」と尋ねられたので、ふざけて「受かった! 受かった!」と返事したら本当に、二人共受かっていたので、個人的にはおもしろかったです(笑)。

大西 あとこのアニメの音響監督の長崎さんとご一緒するのが8〜9年ぶりで、オーディションをして、スタジオを出て、あいさつするためにブースに入った時、その方に「うまくなったな」と言っていただけたことがすごく嬉しくて。だからこそ、「これで受かっていなかったら悲しいな」と思ったので、受かって良かったです。

大西さんにとってダリヤは「ありのままで演じられるキャラ」。田丸さんがヴォルフに感じる魅力は凛々しさと時折見せる少年性のギャップ

ご自身が演じるキャラクターについてご紹介お願いします。

大西 ダリヤは前世で一生懸命働きすぎて体を壊して亡くなってしまったことから、ダリヤとして異世界に転生しました。お父さんは魔導具という私たちの世界で言うところの必需品を作る魔導具師です。彼女も同じ道を目指す中、前世の仕事の知識を活かしながら「こんな道具あったらいいな」というものを製作していきます。

どんなところに魅力を感じましたか?

大西 ダリヤは肩の力を入れずに演じなくてもよかったので、ありのままで演じられるキャラクターだと思いました。ヒロインとして派手ではないですが、しっかり地に足をつけて一歩ずつ歩んでいくところ、他の人や相手のことを思いやれるところが素敵だなと思います。

田丸 ヴォルフは……イケメンですね(笑)。それゆえに人目を引いてしまうのですが、過去にはツライ思いも体験していて。加えて、貴族という立場や家系などのこともあってか、騎士団の中でも最前線で戦う危険な赤鎧(スカーレットアーマー)という部署に所属していて。

かっこいい属性が盛りだくさんですね。

田丸 しかし、ただのカッコいい騎士ではなく、陰の部分も持っています。ダリヤと出会うことでどう変わっていくのかに注目してほしいです。あと魔剣のことになると少年みたいになっちゃって。コミックスでは犬みたいに描写されていましたが、そんなギャップも魅力なのかなと思います。

ダリヤとヴォルフの二人きりの会話は空気感を崩さず、淡泊にならないように

収録時に意識された点や受けたディレクションなどお聞かせください。

大西 シーンごとの微調整的なディレクション以外はなかった気がします。

田丸 そうですね。キャラクターの方向性などについてのディレクションは特になかったと思います。

大西 ダリヤとヴォルフしか出ていないシーンもたくさんあって、会話劇ではあるけど、ギャグでもないし、すごくテンポが速いわけでもないので淡泊にならないように。でもこの作品の良さでもある、ゆっくりした空気感は崩したくなかったので、その調整は難しかったです。

演じる上でダリヤの芯の強さも意識されたのでは?

大西 そうですね。ダリヤは序盤に精神的に崩れてしまうことがあるのですが、前世を生きていた強みを活かして立ち上がっていきます。そして立ち上がった後、いろいろな人に助けられながら自分でしっかり歩いていくことになり、そこは彼女の魅力に通ずるものがあるので意識しています。

田丸さんは演じるにあたって意識されたことなどはありますか?

田丸 オーディションの時と同様に肩肘張らずにできていると思いますが、ヴォルフは話す相手によってモードが変わるんですよね。貴族らしく立ち振る舞わなくてはいけない場面では上品に、ダリヤや赤鎧の部隊のみんなと親しい人と話す時はくだけように。シーンごとにスイッチを即座に入れ替える瞬間があるので、そこは気を付けるようにしています。

あと大西さんが言ったように、ダリヤと二人きりのシーンが多いんですけど、いつもセリフ量が多く、尺に入りきらなくて。場合によっては現場で削ったり調整することもあります。それくらい言葉で伝えたいことが多いので、テンポも速すぎず、遅すぎずにならないように意識しています。

また、ところどころにコミカルなシーンが出てくるんですけど、ハイテンションなツッコミもしないし、ボケる時もわかりやすいボケではなく、貴族っぽさがあって(笑)。コミカルなやり取りのシーンは意外に難しいです。

ヴォルフの生真面目さや不器用さゆえの難しさなんでしょうね。

田丸 ヴォルフがボケているのかダリヤもわからなくて間に受けてしまったり。そんなおもしろいところもヴォルフの魅力の1つかなと。でもヴォルフだけでなく、部隊のみんなもそうなんですけど、頭はいいと思うけど、方向性がおかしくて(笑)。

見ていてホッとできたり、「人っていいな」と思える作品。ぜひあなたも温かい『ダリヤ』の世界へ!

改めてアニメの見どころや注目ポイントのご紹介をお願いします。

田丸 ダリヤを取り巻く人間関係が温かくて、まるで下町みたいです(笑)。愛情が詰まった作品で、特にダリヤのお父さんのカルロの愛情が垣間見えるのが素敵で。カルロが出てくると、いつもグッと来てしまいます(笑)。

大西 ドラマ以外だと、キャラクターたちがかわいかったり、カッコよく描かれていますが、背景や食べ物の描写も素晴らしくて。料理がおいしそう過ぎて。

田丸 ダリヤとヴォルフはよく一緒に食事したり、ワインを飲んだりするシーンが結構あるので、そこが見どころかなと。

大西 あと追々、花で気持ちを表現したり、比喩的に使われるシーンもあります。セリフ以外でキャラクター同士の関係性が見える部分になっているので、見つけてみてください。

田丸 魔導具も見どころの1つだと思います。空を飛んだり、どこかに瞬間移動できる発明ではなく、現実世界で見られるものもあるので親近感が湧くと思います。

大西 ダリヤがどんな魔導具を作り出していくのかも楽しみにしてください。

個性的な男性キャラが多い作品で、ヴォルフのようなイケメン、カルロのようなカッコイイ男性、そしてダメ男まで女子のいろいろなニーズに応えられそうですね。

田丸 ダメ男って、きっとトビアスのことですよね?(笑) でも性根が腐ったクズではなくて……。彼の不思議な魅力に惹かれてしまう人がいるかも(笑)。

大西 いるのかな?(笑)

では最後に皆さんへメッセージをお願いします。

大西 絵やドラマ、劇伴など一体となった総合芸術のような、どなたにも楽しんでいただけるアニメになっていると思います。世界観が温かくて、見ていてホッとする作品になっていると思うので、ぜひ大切な人と一緒に見てほしいです。もうすぐ始まる放送を楽しみに待っていてください。

田丸 ヴォルフの登場は少しだけ先にはなってしまいますが、温かくて、きれいな世界観でゆったりとした時間の流れを感じていただけると思います。そして演じている僕も、「人っていいな」と思わせてくれたり、絆の大切さを感じさせてくれました。第1話を見てもらえれば、『魔導具師ダリヤはうつむかない』の世界にすっと入れて、気付けばもう最終回だった、みたいに楽しんでいただけると思いますので、ご期待ください。